サイト名や事業内容が変わり、WordPressのドメインも変更したい。しかし、管理画面のURLを書き換えるだけでよいのか、旧URLの検索評価や問い合わせメールをどう引き継ぐのか分からず、作業を止めていませんか。
ドメイン変更はWordPressの設定変更だけではありません。新旧URLの対応、DNS、SSL、メール、301転送、Search Console、アクセス解析、外部サービスを一つの移行として管理します。特に、旧URLから対応する新URLへ一対一で転送し、旧ドメインを十分な期間維持することが重要です。
新ドメインへの変更と同時に、サーバー移行、テーマ変更、URL構造変更、全面リニューアルを重ねないでください。問題が出たときに原因を特定できず、検索流入の変化も何によるものか判断できなくなります。
先に結論|旧ドメインを残し、一対一転送で新ドメインへ移す
- 本当にドメイン変更が必要か判断する
- 旧URLと新URLの一対一対応表を作る
- ファイル、データベース、DNS、メール設定を保存する
- 新ドメインのDNS、SSL、メール、Search Console所有権を準備する
- テスト環境でサイトを複製し、新URLで動作確認する
- WordPress URLとデータベース内URLを安全に変更する
- 旧URLから対応する新URLへ301転送する
- canonical、内部リンク、サイトマップを新URLへそろえる
- Search Consoleのアドレス変更を送信する
- 計測、広告、SNS、決済、外部ログイン、フォームを更新する
- 旧ドメイン、新ドメイン、404、流入、メールを継続監視する
GoogleはURL変更を伴うサイト移転の公式資料で、ドメイン変更をサイト移転として扱っています。検索結果が新URLへ切り替わるまで一時的に変動する可能性があり、順位や移行期間は保証できません。作業を小さく分け、移転以外の変更を減らすことで、問題を追いやすくします。
ドメイン変更・サーバー移行・SSL化の違い
| 変更 | URLの例 | 主な作業 |
|---|---|---|
| ドメイン変更 | old.example→new.example | 新旧URL、301転送、Search Consoleアドレス変更 |
| サーバー移行 | URLは同じ | ファイル・DB移行、DNS切り替え |
| SSL化 | http→https | 証明書、HTTPS URL、HTTP転送 |
| ページURL変更 | /old-page/→/new-page/ | 該当ページの転送と内部リンク更新 |
同じドメインのままサーバーだけを替える場合は、WordPressサーバー移行の手順が対象です。HTTPからHTTPSへ変える場合はWordPressを安全にSSL化する方法へ進みます。本記事ではドメイン名そのものが変わるケースに絞ります。
変更前に「やらない」判断も確認する
表示中のサイト名を変えたいだけなら、ドメイン変更が必須とは限りません。短いURLへしたい、雰囲気を変えたいという理由だけで変更すると、転送・メール・外部連携・周知・監視の負担が増えます。
- 商標や事業名との不一致が大きい
- 第三者の権利侵害や信頼上の問題がある
- サイト統合・法人変更で新ドメインが必要
- 旧ドメインを継続保有できる
- 転送、メール、Search Consoleを管理する担当者がいる
- 低トラフィック時間に切り替え、移行後も監視できる
この条件がそろわない場合は、サイト名だけ変更してドメインを維持する選択も検討します。変更の目的、失う可能性のある流入、必要な費用、旧ドメインの維持期間を事前に書き出してください。
最初に旧URLと新URLの対応表を作る

移転前に、公開中の重要URLと移転後のURLを対応させます。サイト構造を変えないなら、ホスト名だけを新ドメインへ置き換える形が最も管理しやすくなります。
| 旧URL | 新URL | 扱い | 確認 |
|---|---|---|---|
| 旧トップ | 新トップ | 301転送 | canonical・メニュー |
| 旧記事A | 同内容の新記事A | 301転送 | 本文・画像・内部リンク |
| 旧固定ページ | 対応する新固定ページ | 301転送 | フォーム・規約・会社情報 |
| 統合する記事 | 内容を引き継ぐ新記事 | 関連性を確認して301 | 統合内容が一致するか |
| 廃止ページ | 代替なし | 404または410 | 無関係なトップへ送らない |
| 画像・PDF | 対応する新ファイル | 必要に応じて301 | 外部参照とダウンロード |
Googleは、多数の旧URLを無関係な新トップページへまとめて転送しないよう案内しています。利用者が探していた内容と同じページ、または内容を適切に統合したページへ送ります。代替がないページは正しい404または410を返します。
公開中URLの把握には、XMLサイトマップ、Search Console、GA4、サーバーログ、外部リンク一覧を使います。検索流入や被リンクが多いURL、問い合わせ・購入につながるURLは優先して個別確認します。
移行前にバックアップと基準値を保存する
- WordPressの全ファイルとデータベース
- 旧ドメインのDNS・ネームサーバー・MXレコード
- SSL証明書と更新方法
- Webサーバー・.htaccess・CDNの転送設定
- Search Consoleの所有者とプロパティ
- GA4のデータストリーム、タグ、主要イベント
- 問い合わせ・購入・ログインの正常テスト結果
- 移行前28日程度の検索流入、主要URL、404件数
- 外部サービスへ登録した旧ドメインとコールバックURL
バックアップは移行元サーバーと別の場所にも保存します。EC、予約、会員、問い合わせがあるサイトは、切り替え中に増えるデータをどう扱うか決め、新規受付を止める時間帯または差分移行の方法を用意してください。準備項目はWordPress移行前チェックリストでも確認できます。
手順1|新ドメイン側の受け皿を先に整える
- 新ドメインの登録情報と更新期限を確認する
- 新ドメインを利用サーバーへ追加する
- DNSレコードを設計する
- 新ドメイン用のSSL証明書を有効にする
- 新メールアドレスと必要な認証レコードを準備する
- Search Consoleで新ドメインの所有権を確認する
- 外部公開前のテスト方法を決める
新サイトが未完成の間は、誤って検索に登録されないようアクセス制限やnoindexを使う場合があります。ただし、本番切り替え時に解除し忘れると新サイトが検索されません。テスト用の制限、解除担当、解除時刻を移行表へ明記します。
本番と分けて確認する方法は、WordPressテスト環境の作り方を参考にしてください。新ドメインで、トップだけでなく記事、画像、管理画面、フォーム、メール、ログイン、スマホ表示までテストします。
手順2|WordPressとデータベース内URLを変更する
WordPress公式のWordPress移行資料では、ドメイン変更時にファイルとデータベースを保存し、WordPressアドレスとサイトアドレスを新URLへ変更したうえで、データベースに残る旧ドメイン参照を更新する流れが示されています。
- 切り替え直前のファイル・DBを再度バックアップする
- WordPressアドレスとサイトアドレスを新ドメインへ変更する
- 投稿、画像、テーマ、ウィジェット、メニューの旧URLを確認する
- シリアライズデータに対応した移行機能でURLを更新する
- パーマリンク構造は変えず、設定を保存して再生成する
- キャッシュを削除し、新URLで表示・管理・送信を確認する
データベース全体を単純な文字列置換で変更せず、guid列を一括変更しないでください。シリアライズされた設定を壊したり、フィードの識別子へ影響したりするおそれがあります。構成が分からない場合は、サーバーの移行機能または保守担当へ依頼します。
管理画面へ入れなくなったときは、URLをさらに何度も変更せず、現在のhomeとsiteurl、wp-config.phpの定数、新旧DNSの向き先を照合します。必要ならバックアップから復元する方法に沿って、戻す範囲を決めます。
手順3|旧ドメインから新ドメインへ301転送する
新ドメイン側の確認が完了したら、旧ドメインの各URLから対応する新URLへ恒久転送します。旧ドメインのDNSとサーバーまたはCDNを維持し、転送元へアクセスできる状態が必要です。
- 旧URLから新URLへ一度で到達する
- パスとクエリを必要に応じて引き継ぐ
- HTTP・HTTPS、www有無の旧パターンも確認する
- 旧URL→中間URL→新URLという転送連鎖を避ける
- 転送先が404、noindex、ログイン要求になっていないか確認する
- 画像・PDF・RSS・サイトマップの旧URLも用途に応じて扱う
新サイトのcanonicalは新URLの自分自身を指し、内部リンクも新URLへ直接変更します。転送があるからと旧URLの内部リンクを放置すると、利用者とクローラーが毎回転送を通り、障害時の切り分けも難しくなります。リンク整理はWordPress内部リンクの貼り方を基準に進めます。
手順4|Search Consoleでドメイン移転を伝える
- 旧ドメインと新ドメインの所有権を同じGoogleアカウントで確認する
- 主要URLの301転送が動くことを確認する
- 新サイトのcanonicalとnoindexを確認する
- 新ドメインのXMLサイトマップを送信する
- 旧ドメインのSearch Consoleで「アドレス変更」を開く
- 新ドメインを選び、事前チェックを通す
- 主要URLをURL検査し、インデックスと選択された正規URLを監視する
Search Consoleのアドレス変更ツールの公式説明では、ドメインやサブドメインから別のドメイン・サブドメインへ移る場合に使用します。HTTP→HTTPSだけ、www有無だけ、同じドメイン内のパス変更、URLが変わらないサーバー移行には使いません。
Search Consoleへ通知しても、検索結果が即時に一括置換されるわけではありません。Googlebotが旧・新URLを巡回し、ページごとに処理します。表示回数、クリック、インデックス、404はSearch Consoleの基本的な見方で定期確認します。
WordPress以外の資産も新旧で管理する

| 資産 | 変更・確認するもの | 旧側の扱い |
|---|---|---|
| DNS・SSL | A/AAAA/CNAME、証明書、CDN | 転送用に維持 |
| メール | 新アドレス、MX、送信認証、SMTP | 受信・転送を継続確認 |
| フォーム | 送信元、送信先、自動返信、reCAPTCHA | 旧通知先も一定期間監視 |
| 計測 | GA4データストリーム、タグ、イベント | 移行前後を比較できるよう保存 |
| 検索 | Search Console、サイトマップ、構造化データ | 旧プロパティも監視 |
| 広告・ASP | 掲載URL、計測タグ、審査対象ドメイン | 規約に従い更新・報告 |
| 外部連携 | 決済、Webhook、API、OAuth、SNSログイン | 旧コールバックの停止時期を管理 |
| 案内 | SNS、プロフィール、名刺、QR、署名 | 利用の多い導線から更新 |
ドメインを変えても、旧ドメインのメールアドレスが自動的に新ドメインへ移るわけではありません。新しい受信先と送信設定を用意し、問い合わせフォーム、WordPress管理者メール、パスワード再設定、請求・決済通知を実際に送受信して確認します。
外部サービスでは、登録ドメインの変更に再審査や所有権確認が必要な場合があります。ASP、広告、決済、メール配信、CDN、バックアップ、セキュリティサービスの現行規約・設定画面を確認し、推測で旧設定を削除しないでください。
旧ドメインは早く手放さない
Googleは、転送を可能な限り長く、一般には少なくとも1年維持するよう案内しています。また、第三者に取得されて悪用されるリスクを避けるため、旧ドメインも少なくとも1年は保有し続けることを推奨しています。
- 旧URLへのアクセスが残っている
- 外部リンクやQRコードを更新し切れていない
- 旧メールアドレスへ重要な連絡が届く
- Search Consoleに旧URLの表示・クロールが残る
- 契約・請求・外部認証に旧ドメインが登録されている
- ブランド保護上、第三者取得を避けたい
検索結果が新ドメインへ変わった直後に、旧ドメインと転送を解約しないでください。検索以外のブックマーク、メール、資料、外部リンク、アプリ連携は遅れて利用されることがあります。
移行後は旧・新の両方を監視する

| 時期 | 確認すること | 異常の例 |
|---|---|---|
| 切り替え直後 | DNS、SSL、主要URL、管理画面、フォーム | 接続不能、証明書警告、送信失敗 |
| 当日 | 301転送、canonical、noindex、サイトマップ | 転送ループ、旧canonical、検索遮断 |
| 数日間 | 404、サーバーログ、GA4、メール、外部連携 | 高流入URLの404、計測停止 |
| 1〜4週間 | Search Consoleの表示・クリック・インデックス | 旧URLだけ残る、新URLが未登録 |
| 1〜3か月 | 被リンク、広告、SNS、資料、旧メール | 更新漏れ、旧URL経由の多段転送 |
| 1年以降 | 旧ドメインへの残存流入と契約 | 転送停止後のアクセス損失 |
旧URLへのアクセスが多い場合は、どのページ・参照元・資料から来ているか調べ、管理できるリンクを新URLへ更新します。404が増えた場合は、無条件にトップへ送らず、URL対応表へ漏れたページがないか確認してください。
ドメイン変更で多い失敗
| 失敗 | なぜ問題か | 予防 |
|---|---|---|
| URL設定だけ先に変更 | 管理画面へ入れず、新サイトも未完成 | 新ドメインの受け皿を先にテスト |
| 全旧URLを新トップへ転送 | 読者意図とページ対応が崩れる | 一対一のURL表を作る |
| DBを単純置換 | シリアライズ設定が壊れる | 対応ツールとバックアップを使う |
| 旧ドメインを即解約 | 転送・メール・外部連携が止まる | 少なくとも1年を目安に維持 |
| noindexを解除し忘れる | 新サイトが検索に登録されない | 公開チェック表へ解除確認を入れる |
| メールを後回し | 問い合わせ・再設定メールを失う | 新旧アドレスを実送受信 |
| 複数変更を同時実施 | 原因と順位変動を切り分けられない | 移転・デザイン・サーバーを分ける |
WordPressのドメイン変更に関するよくある質問
ドメイン変更でSEO評価は引き継げますか?
完全な維持は保証できず、一時的な順位・表示変動も起こり得ます。一対一の301転送、新URLのcanonical、内部リンク、サイトマップ、Search Consoleアドレス変更をそろえることで、移転関係を検索エンジンへ伝えやすくなります。
サーバーも同時に変更できますか?
技術的には可能でも、問題の切り分けが難しくなります。まず同じドメインでサーバー移行を安定させるか、同じサーバーでドメイン変更を完了させ、流入と表示が落ち着いてから次の変更を行う方が安全です。
WordPressのエクスポート機能だけで移せますか?
標準のエクスポートは投稿・固定ページなどのコンテンツ移動には使えますが、テーマ、プラグイン、全設定、サーバー設定、メール、外部連携まで完全に移すものではありません。サイト全体の移転ではファイルとデータベースを含む方法を選びます。
wwwありからwwwなしもアドレス変更ツールを使いますか?
同じ登録ドメイン内のwww有無だけの変更では使いません。恒久転送、canonical、内部リンク、サイトマップを正規URLへ統一します。アドレス変更ツールは、別ドメインまたは別サブドメインへの移転で使います。
旧ドメインは1年後に必ず解約してよいですか?
1年は自動的な解約時期ではありません。旧URLへの流入、メール、外部リンク、契約、ブランド保護を確認し、維持費と第三者取得リスクを含めて判断します。重要な事業ドメインは長期保有が適切な場合もあります。
まとめ|WordPressの外側まで含めて移行する
WordPressのドメイン変更は、管理画面のURLを書き換えるだけでは完了しません。新旧URLの対応表を作り、新ドメインのDNS・SSL・メールを先に準備し、WordPressと内部URLを安全に更新します。その後、一対一の301転送、Search Console、計測、外部サービス、旧ドメイン維持まで管理します。
- 移転以外の大きな変更を同時に行わない
- 旧URLと新URLを一対一で対応させる
- 全バックアップと移行前の基準値を残す
- 新ドメイン側を先にテストする
- WordPress以外のメール・計測・外部連携も更新する
- 旧ドメインと転送を十分な期間維持する
- 旧・新のSearch Consoleと404を継続監視する
最初の一歩は、旧URL、新URL、転送先、メール、外部サービスを一枚の表にすることです。対応表を作れない状態で本番URLを変更せず、移行前チェックとテスト環境の準備から進めてください。